中小企業で働く女性へ〜産休・育休ガイドブック〜

正社員ではないけれど・・・パート・契約社員の産休・育休は?

パート社員・契約社員など非正規社員は妊娠するとどうなるのか、意外と知られていません。

正社員でない人は妊娠をすると退職しないといけないのでしょうか。

安心してください。そんなことはありません。

産休・育休に雇用形態は関係ないのです。

条件さえ満たせば正社員でなくても産休・育休を取ることができます。

【産前・産後休業の条件】

実は産前産後休業を取ることに条件はいりません。

誰でも取ることができるのです。

出産予定日6週間前から休業を希望すれば会社側は拒否することができません。

また産後は出産翌日から8週間は就業することを禁止されています。

(本人が就業を希望した場合のみ、産後6週間後より就業できます)

さらに会社は産前・産後休業期間中とその後30日間は、その労働者を解雇することができません。

産休・育休取得を理由に労働者を解雇することも禁止されています。

これはすべての労働者に適用されますので、正社員以外の労働者も対象です。

これらが法律で決まっているのです。

ですので産休・育休は希望さえすれば誰でも取ることができるのです。

【育児休業の条件】

産後8週間を超えた日からの休業は育児休業となります。

産後から8週間を過ぎると、法律では「働くことができる」ようになりますので、以降の休業を取得するには条件がつきます。

1.同じ会社で1年以上雇用されている

2.子供の1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれる

3.雇用契約が子供の2歳の誕生日の前々日までに終了しない、または終了するが更新しないと明記されていない

4.週3日以上勤務している

5.日々雇用される日雇い労働者でない

この5つの要件を満たす労働者が申し出た場合、会社は育児休業を取得させなければなりません。

要件を満たしていれば、パート・契約社員でも子供が1歳になるまで育児休業を取り、復職することができるのです。

「パートなんだからそこまでしなくても・・・また探せばいいし」と思うかもしれませんが、前回書いた通り子供をもつ女性の就職活動は簡単ではありません。

育児をしながら求職している女性に話をきくと「戻れる会社があるなんて羨ましい」「何があっても出産前の会社にしがみついておくべきだった」等、どれほど大変かが分かります。

その一つに保育園の問題があります。

認可保育園は市役所が入園者を決めます。

入園希望者が多い場合は、市役所が家庭状況で審査し優先順位をつけるのですが、求職中の人の優先順位は最下位です。

待機児童が出ている地域では、親の休職中に認可保育園に入園できることは稀です。

そうなると無認可保育園等に預けて就職活動をするしかないのですが、待機児童の多い地域だと無認可保育園もすぐに満員になります。

保育園に入園できないと仕事を決められないのに、仕事が決まらないと保育園に入園できないという状態に陥ってしまいます。

その点、育児休業中の人の優先順位は高いです。

さらに子供が1歳になると育児休業は終わりますが、その時点で保育園に申込みをしているのに入れなかった場合は、1歳6ヵ月になるまで育休を延長することが認められています。

どうでしょうか?出産手当金や育児休業給付金の支給対象外であっても、産休・育休を取得する価値は十分にあると思います。

「戻る会社を確保する」ということが重要なのです。

また会社側も、あなたの後任を探すか、産休・育休中の代替要員を探すかの違いですので、すんなり了承してもらえるかもしれません。

「パートだから、契約社員だから・・・」と気後れせずに、勇気を出して会社に掛け合ってみてください。

産後も働き続けたいという姿勢を評価されることもありますよ。